生活通販
通販で申し込んでいた魔法のほうきが届いた。
「自動掃除機能と飛行機能がついた優れモノ!」のふれ込みで、なんとたったの2,980円! わくわくしながら包みをほどいたら、その場で跳ね上がり、窓を破って飛び去っていった。
急いで販売元に抗議の電話をかけたが、いつまで待ってもつながらない。
それからしばらくは空を見るとほうきが飛びまわっていて、天文ファンや航空関係者をいらいらさせていた。
最近空気がきれいな気がするから、きっと掃除機能のほうも健在なのだろう。
CD QUEST
幸せの青いCDを探して旅に出た。
ありとあらゆるCDをひっくり返したが、銀色に輝く円盤ばかり。とうとう目の前が暗くなり、いくつかのCDが黒く見えるまでになった。そのことを友人に話すと、彼は笑って言った。
「馬鹿だなあ。これはプレイステーション用のCDさ。気を落とすなよ。いつかきっと見つかるさ」
そしてまたしばらく探索の旅は続いた。音楽ショップも中古CD屋もゲーム屋も廻り尽くしたが、やはり見つからない。ある日疲れ果ててふらりと違う店に入った。
「すみません、青いCDを探しているんです」
「あー、はいはい、これですか?」
パソコンショップの店員は朗らかに言って、特売コーナーから十枚一パックのCDを掴んで持ってきた。「赤もありますけど、青でよろしいですか?」
震える手でパックを破ってひっくり返す。ああ……なんてことだ、青い! とうとう見つけたんだ! 感動に打ち震える横で、店員が困ったように言った。
「あの……ちゃんとお買い上げになってから開けてくださいね」
有頂天になって家に戻る途中、友人の家に寄って見せたら「なんだ、CD-Rのことだったの?」と呆れられた。ふん、所詮知る者に知らざる者の苦悩は判らないのだ。
今、ありとあらゆるデータが青いCDに書き込まれている。幸せだなあ。うっとりしている横で、遊びに来た友人が頼んでいた新譜CDを差し出して言った。
「ひょっとしてこれもコピーする気? プロテクトかかってるけど……」
to be continued……
勇者の攻撃!
ゲームをしていたら主人公が話しかけてきて、しばらく交代することになった。
村を襲う怪物を倒したりして3つほどレベルを上げてもとの世界に戻ると、宿題が終わって夕食ができていた。キャンプ料理のような夕食はまあまあだったが、宿題はやっつける前に返り討ちにあったらしく、翌日間違いだらけで先生に叱られてしまった。
ゲームを起動して彼に文句を言うと、血もぬぐわずに放っておかれた剣や鎧が錆びてしまい、メンテナンスで大損したと逆に怒られた。
お互い慣れないことはするものではない。