『トリポッド』シリーズ読んだ | 想像妄想空疎空想うそ日記

『トリポッド』シリーズ読んだ


トリポッド〈2〉脱出 (ハヤカワ文庫SF) トリポッド 3 潜入 (ハヤカワSF) トリポッド 4凱歌 (ハヤカワ文庫 SF)
トリポッド 2 脱出
トリポッド 3 潜入
トリポッド 4 凱歌
ジョン・クリストファー

 トリポッドが侵略して約100年。文明が中世レベルに後退した地球。人間は14歳になると戴帽式で「キャップ」をかぶって大人の仲間入りをする。キャップは銀色の針金でできたようなメッシュで、頭に密着しトリポッドへの疑問を消して敬愛を抱かせ、闘争心を抑制する。そんな地球のイギリス、ウィンチェスターで暮らすウィルも、戴帽式を来年に控えていた。だが一足先にキャップをかぶって「穏やかな大人」に洗脳されてしまった親友の変貌をきっかけに、トリポッドの支配に疑問を持ち始める。

トリポッド 1 襲来 (ハヤカワ文庫 SF)
トリポッド 1 襲来

<2巻 『脱出』>
 ウィルがある人物との出会いからトリポッドへの抵抗勢力の存在を知る。村の少年ヘンリーとフランスで仲間になったビーンポールとともに、自由な意思を持つ人びとが集まる「白い山脈」へ向かう。
<3巻 『潜入』>
 トリポッドは優秀な若者を自分たちの都市へ連れて行くことがあった。白い山脈の指導者は選別が行われる機会のひとつであるスポーツ大会を利用して、都市への潜入する作戦を考える。ウィルともう一人の少年フリッツが大会を勝ち抜き、トリポッドを操る宇宙人らの真の姿と秘密、そして彼らの侵略の目的を探る。
<4巻 『凱歌』>
 宇宙人の目的が明らかになった。もはや地球人に残された時間は少ない。地球を取り戻すために、彼らのドームを襲う作戦が決行される。



 ウィルって、本当によくいるような、ごくふつーの元気な少年。飛びぬけて頭のいいビーンポールや、忍耐強く任務に取り組むフリッツに比べると、ちょっと見劣りしてしまう。むしろ考えなしに行動してはへまをする。しかも反省しても次にもまた同じような失敗するし…。でもその向こう見ずな行動が幸運を呼んで、慎重すぎるレジスタンスたちに思いがけない突破の糸口を与えたりもする。ウィル自身も他の人物に引け目を感じているふしもあるが、彼は冒険者や探検家の素質があるのだろうね。ゲームで言えば、勇者か。そういう意味ではいちばん主人公らしい。悲しきロマンスもただひとり体験するし。おおわがいとしのエロワーズ!
 こんなに科学が退行しちゃって、人間に何か手立てがあるのか心配だったけど、最後はどうにかなってくれた。ラストは完全なハッピーエンドではなくて後味はいささかほろ苦い。そのへんも印象に残った。

 1冊ずつが薄めで読みやすいし、とにかくめっぽう面白い~。
 大人が読んでも楽しいけど、これはぜひ小中学校の図書室なんかにも置いてほしいなあ。文庫じゃなくて、ハードカバーかせめて新書版の大きさで(文庫だと他の本に埋もれそうでもったいない…)。自分だったら夢中になりそう。早川書房はディズニーで映画化の可能性が出て版権を取ったらしいので、実際に映画化すれば実現するかも? ちなみにその場合は三部作+別巻として前日譚の構成がよい気がする。

 1冊読み終えて表紙を見ると、『図書館戦争』のように物語の出来事がちりばめられているのがわかって二度たのしい。
 4冊読んで並べるとつながって三度たのしい♪


トリポッド 1 襲来 (2004/11/09)
トリポッド 2 脱出 (2005/01)
トリポッド 3 潜入 (2005/03/09)
トリポッド 4 凱歌 (2005/05/10)
ジョン・クリストファー
ハヤカワ文庫SF


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