想像妄想空疎空想うそ日記 -5ページ目

いつか読むかもしれない本

 もっとたまったら公開しようとか思ううちに一覧から消えちまいそうなので、とりあえず…。


草森 紳一
随筆 本が崩れる (文春新書)

 立ち読みでさわりだけ読んだのだけど、おもしろそう。
 タイトルの『本が崩れる』は、本に侵食されたマンションに住む著者がある日風呂に入ろうと浴室に入ったとたん、本の山が崩落してドアをふさぎ、浴室に閉じ込められる話。一冊の本を書こうと思うと、下手をすると数千冊の資料を集めてしまう著者。いかにして崩さずに高く積み上げるかに腐心し、危ういバランスでそびえる標高1m以上の本の山は、ちょっとした衝撃でたやすく前崩れし、隣り合う本の山まで巻き込んで崩壊の連鎖を起こす。語り口がユーモラスで味があって笑えた。
 で、近くの図書館で蔵書検索したら、この人の本一冊もないでやんの…。しくしく。

※追記 3月20日に亡くなられた そうです…。ご冥福をお祈りいたします。


支倉 凍砂
狼と香辛料 (電撃文庫)

 どっかで見かけたら…。


東川 篤哉
もう誘拐なんてしない

 新聞で見かけて…。
 もしもっとおすすめのあれば教えていただけるとありがたきしあわせ。


 あと『精霊の守人』も気になっているのだけど、あれってシリーズ? どっから読むの?
 あと頭の悪い自分にうんざり気味なので、クリティカルシンキングの実用本とかいいのあったら読みたいような。むにゃむにゃ(←読んでどうにかなると思ってるのかね、この人)。
 あと『海賊の世界史 』『イギリス海賊史(上) 』『イギリス海賊史(下) 』。

 とかなんとか言いながら、読書週間が終わってきた気配…。
 俺の頭ってどうなってんだいったい。



 ところで、いつも楽しみにしていた読書ブログが、ここのところ相次いでアメブロを見限ってしまわれた…。
 Amazon検索が使えなくなったのはほんと不便。アメブロはなんだってこうどんどん自由度を下げていくのであろうか。
 ちなみに自分は別のところで作ったタグを使うという横紙破り実施中。マナー違反なんだろうなーとびくびくしつつ。大人しくそっちに行けって話なんだけど、やっぱり慣れてるし愛着あるのだよなあ。にんともかんとも。


月夜のぐだぐだ

 こんばんは。今夜はとってもよい天気。
 だんだんぼちぼち暖かくなってきて、というか正確には寒くなくなってきて、なのだけど。冬のあいだは寒くて外を出る気にもならなんだが、今日は日中から晴れで風も弱い。夜は久々に星でも眺めるか。オリオン座から東側の星座がさっぱりなので、写真撮って調べてみよう。
 などと思いつつ、飯を食べたらすっかり忘れて、フィギュアスケート見て終わった後チャンネル変えたらやっていたドラえもん『のび太の新魔界大冒険』観て、相変わらず新しい声になじめないと思いつつ懐かしくなって大長編ドラえもんを3冊ばかり読む。本当は『魔界大冒険』を読みたかったが、あれと『海底奇岩城』は子供の頃に読み潰してばらばらになってしまって手元に無い。しょうがないので『宇宙開拓史』(大好き。壊して買い直した)と『宇宙小戦争』(好き)と『雲の王国(』まあまあ)などを読み、やっぱり名作だよとまったりした後ようやく思い出して外に出た。

 ん?
 足元に影。見上げた空には。

 あ、丸っこい月…。
『渇きの海』はどのへんかしら。
 じゃなくて。

 こらー! 邪魔じゃー! まぶしいわー!

 月のない夜は背中に気をつけないといかんが、月夜は本当に明るい。
 煌々と月が輝く明るい空に唯一分かりやすいオリオンさまの姿もなく、何がなんだかさっぱりさっぱり。木や街灯を避けて右往左往して、ようやくおぼろな北斗七星発見。とすると、あの柄杓の柄をぐにーと辿っていった先の2つはうわさに聞く春の大曲線か…。で、春の大曲線の星ってなんだっけ? それに月のわきで2つ明るいのが見える気がするが…。
 だめだめじゃん。
 一度家に引き返し、PCつけてプラネタリウムのフリーソフトを眺める。やはりオリオンと大きな犬だか天の狼は沈んだらしい。大曲線はうしかい座アークトゥルスとおとめ座スピカか。ふうん。月の近くの二つはしし座レグルスと土星っぽいな。西の赤いのは火星でいいのかなー。一応もう一度外に出て見上げるが、うしかい座ったって、ほかの星がほとんど見えないんじゃ辿りようもない。やはり星座は難しい。
 まったくもって月のやつめ。
 それにしても、いつもは月が出ていれば「きれいだなー」と思うのに。自分の妙な心理がなんかおかしい。

 そんなわけで22日は満月だとさ。
 夜道を歩くときは狼男に注意されたし。


『渇きの海』読んだ

渇きの海 (ハヤカワ文庫 SF ハヤカワ名作セレクション)
渇きの海
アーサー・C・クラーク

22人の男女を乗せて、観光船セレーネ号は、月の渇きの海を疾駆していた。細かい塵におおわれた、風も波もない月の海原やそびえたつ岩山に、乗客はみな感嘆の声をあげる。だが、その船を突然の地殻変動が襲う。一瞬のうちに船は、塵の海のなかに沈んでしまった! ふたり乗りダストスキー以外に近寄るすべのない塵の海に沈んだ船を、いかにして援助するのか? 息づまる救助活動を迫真の筆致で描いた、巨匠の長篇。
(Amazonより引用)

 以前、とらさん に月が舞台のSFではこれがおすすめだと教えていただいたのだが、なかなか出会わずにいた作品。訃報 に接したその日に古本屋で発見するというのも、不思議なものだ…。

 というわけで、A.C.クラーク初読み。

 最初の、微細な砂塵に満たされた海の描写に圧倒された。さざ波ひとつ立たない、まっ平らな海。「焦点を合わすべきなにものもないところでは、人の眼は距離を判断する方法を持たないのだ」たった3キロかそこらの水平線までの距離が、人の目には数光年もあるように思われるという。
 ものが落ちればあっという間に呑み込んで、再びべた凪ぎの平面に戻ってしまうというこの「渇きの海」に沈んでしまったセレーネ号。遭難したのだから、探索、発見、救出計画と話は進――めばよいのだが、地上側にはそもそも本当に沈んだのか、はたまた岩山の崩落に巻き込まれたのかもはっきりしない。そして沈んだとしても場所の特定さえ容易でない。
 海の上でも下でもさまざまな困難が彼らの前に立ち上がってくる展開がすごい。「困難」と軽く言っても周囲は真空、ましてや始末に負えない塵の海という状況。生きていると分かっても、すぐに助けられるわけでもない。その上船内の酸素残量というタイムリミットがある。対応を誤れば、ちょっと運が傾けば死につながる過酷さだ。
「この塵は」ポート・ロリスの副技術部長が愚痴っぽく言った。「固体と液体の悪いところばかりをそなえている。長所はちっともないんだ。流れてほしいときには流れず、止まってほしいときには止まらない」
 しかし無慈悲で絶望的な環境の中で、人間は諦めない。月の地上では偏屈な物理学者や使命に燃える技術部長が知力の限りを尽くして救出方法を探り、沈没船内では船長や乗客たちが協力して不安や退屈という精神の魔物や、酸素の欠乏という脅威と戦いながら生き残りの希望を追う。でもって、かぎつけたマスメディアがテレビ中継し、観光局長はやきもきする。どの人もとても人間くさくてそこがまた魅力的。
 ハードSFって文系野郎にゃものすごーく読みにくくて敷居が高いイメージがあるが(偏見?)、この作品は月を舞台に人間の有るべき姿を描いた物語なのだなと思った。

 読み応えがあり、なおかつ面白かった。ほんとに最後の最後までスリリング。50年近くも前(1961年発表!)に書かれた本だということが自分はほとんど気にならなかった。こういう本が名作というのであろうか。

 この砂の海って、実写でもアニメでもよいので映像で見てみたいなあ。
 パット船長の操船するセレーネ号に乗ってみたくなった。
 もちろん、沈むのは絶対ごめんだけど…。


渇きの海
アーサー・C・クラーク (著), 深町 眞理子 (翻訳)
ハヤカワ文庫SF ハヤカワ名作セレクション(2005/07/21)

※自分が読んだのは1977年に初版が出た旧装丁の文庫。古い表紙の、月塵の海をゆくセレーネ号のほうが内容に合っていて好きかな。